愛というもの~哀しみの中で~
6
それからすぐに新学期が始まり学校とバイトとって忙しくなった。
きっと大吾は何も言わないけど自分も忙しいはずなのに毎日学校が終わると校門で待っててくれた。
あの夜から私たちの距離は確実に近づいていた。おやすみのキスは毎日になり、大吾の仕事が朝ゆっくりの時はたまに泊まるようにもなった。
もちろん、大吾は私に気を遣ってキス以上のことはしてこなかった。寝るときは必ずぎゅっと抱きしめられ、腕枕をしてくれた。
家の中に少しずつ大吾の物が増え、洗面所には歯ブラシやひげ剃り、大吾用の蓋付きボックスにはパジャマやしごとぎ、下着やTシャツなどもある。
それらが家にあるだけでひとりで家にいても何だかひとりじゃない気分になり嬉しかったし、何より寂しくなかった。

夏休みが終わると日が暮れるのが早くなりあっという間に寒くなった。
お弁当のバイトはおせち弁当の製作、コンビニはハロウィンにクリスマスとイベントに合わせて大変だった。
残業なんかもあったりで大吾とは夜少し会うだけの日も続いた。
< 54 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop