愛というもの~哀しみの中で~
胸を揉まれ、先を刺激され、自分の呼吸もどんどん速くなっていくのがわかる。
私は声が漏れそうになるから口元を手で抑えた。
怖くない、これは大吾だから…
口元の手に涙が伝ってきて初めて自分が泣いていることに気づいた。

「うぅ~、顔が見た…いよ~。後ろから、っん、じゃあ怖い…」

必死でそう言いながら体を左右によじると大吾の手が止まり、ようやく首元から顔を上げてくれた。
私はゆっくり服の中の手を引き抜くと大吾の方を向いた。
そこで大吾がひどくショックを受けた顔をしていることに気づいた。

「えっ?大吾?ど、どうしてそんな顔する…の?」

大吾はパッと私から体を離すから咄嗟に大吾の手首を掴んだ。
大吾の手がわずかに震えてるように感じた。
恐る恐る私の顔へ手を持ってきて流れ出た涙を拭った。

「…っごめん…」

私は首を振った。

「ねぇ、わかる?私震えてない。大吾だから大丈夫。」

「いや、でも…怖いって、泣いてる。泣かすつもりはなかったのに…」
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