愛というもの~哀しみの中で~
芹沢さんは私の両肩を掴み真剣な顔でそう言った。

「私は恋愛に興味がありません。私の身体も汚れてますし、まともな幸せなんて夢見るだけ馬鹿なんです。きれい事はいいのでやることやってさっさと帰って下さい。明日も早いので。」

そうまくしたててTシャツを脱ぎかけたとき、芹沢さんは私を力強く抱きしめた。
内心やっぱりって思いながら怖くてたまらなかった。またあんな気持ち悪くて痛いことをされるんだって思うと震えが止まらなかった。

「フッ、お前さぁ、啖呵切った割にめちゃめちゃ震えてるけど?マジでなんなの?俺一目惚れしたって言ってるじゃん。そりゃあ待ち伏せされて気持ち悪かったかもしれないけど…大丈夫何もしない。茉莉ちゃんが俺のこと好きになるまではね。」

そう言うと体を離し私のおでこにキスをした。
私は相変わらず震えが止まらず俯いたままだった。

「ねぇ、せっかく招き入れてもらえたしお茶くらい出してよ。茉莉ちゃんと話がしたい。」
< 9 / 350 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop