愛というもの~哀しみの中で~
「でも泣いてただろ?俺は待つつもりだったけど、あの日はつい飲み過ぎて…だから気にするなよ。でもこれはありがとう。気持ちは嬉しいし、いつかそういうことするときに使おう。」

私は震える手で大吾の手を握った。

「そのいつかって、今日がいい。多分泣いちゃうかもしれないけど、本当に恐怖で泣くんじゃなくて、わからないけどブワッて溢れちゃうだけなの。大吾…」

大吾は手元のプレゼントをじっと見ており、こちらをなかなか見てくれなかった。
やっぱり引かれてしまったんだと思うと目から涙が溢れてきた。
私じゃなかったらこんな待つこともなかったのに…

「フハッ、昌のヤツ!人の気も知らないで。これ、ローション付きだって。あえて選んだの?」

困ったように笑いながらやっと目が合う。
私は声が出ず、頭を振った。

「茉莉、初めてだからちょうど良かったかも。」

何のことを言ってるのかさっぱりわからなかった。しかも私もう、初めてじゃない…

「大吾、私、初めてじゃない…ごめん…」

今までもあの日のことは嫌だったけど、大吾とするのが初めてじゃない事がすごく嫌だった。

「茉莉は初めてだよ。あれは怖かったと思うし、気持ち悪かっただろう?そんなのカウントする必要ない。セックスってお互いをさらけ出して受け入れ合うものなんだ。」
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