死者の体温〜最期のメッセージ〜
ひたすら泥を落とし、骨を並べていく作業が繰り返される。その時、朝子が「この人、足を怪我したことがあるのかな」と綺麗になった骨を見つめた。藍たちは手を止め、朝子の持つ骨を見る。

「これは、足の脛骨の骨か……」

聖が呟き、藍も脛骨を観察する。脛骨には大きな古傷があった。

「何の怪我なのかしら……」

藍が言う中、怪我の痕がある骨は並べられていく。

全ての骨を綺麗にした後、骨と行方不明者のDNAを鑑定することが決まった。

「これで家に帰れますね」

藍は骨にそう声をかけ、箱の中に丁寧に骨をしまった。



午後からは、石川茜の解剖だ。葬儀場から遺体が送られてくる。

遺体の入った棺桶を藍たちは解剖室へと運ぶ。石川翠も有給を取って立ち会っていた。

「待ってください」

解剖室に入る前、石川翠は藍たちに声をかける。そして、棺桶の蓋を開けた。中にあるのは、穏やかな顔をしている石川茜。しかし、その目が開くことはもうない。
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