死者の体温〜最期のメッセージ〜
「どうして?ここは日本のはず……」

驚き続けるアレクサンダー・エドモンドに、「どうしたんだよ?」と大河が訊ねる。藍たちも何事かと脛骨を見つめた。

「この傷、銃弾の痕です。この人物は銃で撃たれたことがあります」

「銃弾……」

日本で銃で撃たれる人などほとんどいない。藍たちがわからないのも当然だ。そして、銃弾と聞いた時に藍の頭に青磁のことが浮かぶ。青磁はアメリカを旅した際に、銃で足を撃たれた。

まさか、そんなはずはない。藍はそう自分に言い聞かせ、震える体を押さえつけた。



その翌日、藍たちは石川茜の脳や髄液を調べるために解剖室にいた。今日で石川茜の死因がわかる。そう藍たちは信じて疑っていない。

「午後三時、解剖を始めます」

まず頭蓋骨を慎重に開け、藍たちは脳を観察する。

「異常は見当たりませんね」

「ええ、血管の太さにも異常はないわ」

その後、髄液などが調べられる。藍たちの表情はどんどん険しくなっていった。
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