死者の体温〜最期のメッセージ〜
ラブ
数日後、藍たちが仕事をしている中、一人の男性が「すみません……」と緊張したように入ってきた。
「どうかされましたか?」
藍は微笑み、男性に椅子を勧める。大河が、「所長を呼んできます」と所長室へと向かった。こんなところに来る一般人が言うことはたった一つだ。
「妻の死因を知りたいんです。……こちらで解剖してもらえないでしょうか?」
男性は、石川翠(いしかわみどり)と名乗った。職業は高校の英語教師をしているそうだ。五年前に結婚し、まだ幼い娘が一人いるそうだ。
「奥様はどのようにお亡くなりになったんですか?」
研究所の所長、春川正人(はるかわまさと)が訊ねる。石川翠は唇を震わせながら言った。
「……いつも通りの朝でした。妻の茜(あかね)は朝食とお弁当を作ってくれて、いつものように送り出してくれました。でも、夕方頃に保育園から「迎えにまだ来てくれていない」と連絡が入ったんです。それで娘を迎えに行って家に帰ったら、妻はリビングで倒れて亡くなっていました……」
「どうかされましたか?」
藍は微笑み、男性に椅子を勧める。大河が、「所長を呼んできます」と所長室へと向かった。こんなところに来る一般人が言うことはたった一つだ。
「妻の死因を知りたいんです。……こちらで解剖してもらえないでしょうか?」
男性は、石川翠(いしかわみどり)と名乗った。職業は高校の英語教師をしているそうだ。五年前に結婚し、まだ幼い娘が一人いるそうだ。
「奥様はどのようにお亡くなりになったんですか?」
研究所の所長、春川正人(はるかわまさと)が訊ねる。石川翠は唇を震わせながら言った。
「……いつも通りの朝でした。妻の茜(あかね)は朝食とお弁当を作ってくれて、いつものように送り出してくれました。でも、夕方頃に保育園から「迎えにまだ来てくれていない」と連絡が入ったんです。それで娘を迎えに行って家に帰ったら、妻はリビングで倒れて亡くなっていました……」