再びあなたを愛することが許されるのなら
急いで電車に乗り込み、一息ついたとき、スマホからメッセージの着信の音が聞こえた。
メッセージは部長からだった。
「その小説私にも読ませなさい」
たったこれだけの一文だったが、なんとも威圧感のある一文なんだろう。
「わかりました」と、だけしか返事が出来なかった。
送信した後すぐにまたメッセージが着信した。
また部長かと思い無視しようかとしたが、気になって開いてみると、今度は沙織さんからだった。
何でこのタイミングなんだ?
もしかして沙織さんと部長は何かつながりがあるのかと、疑いたくなるような気がした。
「今日はお昼ご馳走になってありがとうございました」
そしてもう一つ。
「原稿に私が書いたの、もう全部見ました?」
「はい、物凄く参考になりました。ありがとうございます」
少しして
「一番最後に書いたのも読まれたんですよね」
「はい」
「ごめんなさい。最後に意味の分からないこと書いてしまって、あのぉ……亜崎さんがよければなんですけど、私にもあの小説完成させるために協力させてもらえないかなぁ。なんて無理ですよねそんな失礼なこと言っちゃ」
え! キョウリョクって。それってどんな意味で言っているんだろう。