再びあなたを愛することが許されるのなら
「私中学の時付き合っていた男性がいたの。始めは本当にその人が好きだった。とてもやさしくて、いつも私の事を気にかけてくれていた。好きだという想いが強くなればなるほど、私は彼を求めるようになった。
あの時の私たちは若すぎたんだと思う。本当に人を愛することの意味を私たちは、はき違えていた。好きである事、愛する事は、ただ単に躰を求めあう事だけだと思っていた。私たちは自然にセックスだけに溺れていった。最終的には私はもう愛だの恋だのという感情の意味も分からなくなって、ただお互いの躰だけを求めることで安心していた。そうただ、快楽だけを求めるようになってしまっていた」
恵梨佳さんの頬がほのかに桜色に染まっていく。
柔らかく、温かいその表情は彼女のスタイリッシュないつもの姿が重なり、大人の女性の色気という言葉は下品かもしれないが、漂うその空気が僕を誘い込んでいく。
そんな彼女と目が合った時。言葉というものは、もう必要なかったのかもしれない。
ゆっくりと重ね合う唇が、お互いのその感触を確かめ合っていた。