再びあなたを愛することが許されるのなら

柔らかくそして温かい躰。
触れ合う肌。
こうして女性の肌に触れるのは、美野里以外今までなかった。

求め求めあう事は、何も愛しているから湧き上がる感情ではない。
お互いの何らかの心の穴を埋めるためにも、必要なことなのかもしれない。

今だ僕はまだ美野里の事を正直引きずっていることを、自分自身で押し殺していた。その気持ちが今、解放されたような気がした。
そして彼女も、これから待ち受ける自分の人生を受け入れるために。
すべての自分の過去を清算すかのように、僕を受け止めた。

たった一夜限りの僕らの関係。
誰にも言えない、この事実を二人は受け入れる。

だからこそ今、この瞬間。
二人の気持ちは一つに溶け合った。
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