天満つる明けの明星を君に②
「…というわけなんです。朔兄、だから暁は置いて行…」
「連れて行っていい」
「え?今なんて…」
「暁はまだほとんど外の世界を知らない。いい機会だから連れて行け」
朔に反対してもらおうと思って勇んでいた天満は、思わず拍子抜けして目を丸くした。
確かに暁はほとんど幽玄町を出たことはない。
地理は熱が出るほど覚えさせたけれど、実際外に出たことがあるのは百鬼夜行を見学させに連れ出した数回で、遠出は一度もなかった。
「でも…暁は次期当主だし…何かあったら…」
「何も起こらないようにお前が守れ。護衛を連れて行くなら選抜はお前に任せる」
百鬼夜行前の夕餉を食べ終えて全員揃った時を見計らって話したため、その場には朔夫妻、輝夜夫妻、氷雨夫妻が揃っていた。
皆が一様に大きく頷き、大変な役目を担ってしまった天満は、嬉しさを爆発させて庭を駆け回っている暁を指した。
「朔兄いいんですか?僕のこと信用しすぎなんじゃ…」
「お前は俺の信頼や信用を損なう予定なのか?お前なら大丈夫だと思っているから任せるんだ。一度鬼陸奥に戻って色々整理して来い」
「そうですよ、しばらく戻っていないでしょうし、ゆっくりして来なさい」
「輝兄、簡単に言うけど暁に何かあったら…」
元々過保護で溺愛体質な家風だが、朔たちは何ら心配はしていなかった。
天満は暁を教育して育て上げる時を経て、本人は気付いていないが、身体共に充実していった。
命を懸けて守り切ってくれる信頼に足る男だと全員が思っているし、疑っていない。
「任せたぞ。暁に色々見せてやってくれ」
「天満さん、暁をお願いしますね」
芙蓉にも頭を下げられてしまい、いよいよ食い下がることができなくなった天満は、頬をかいて頷いた。
「変なことになっちゃった…」
とはいえ、目に入れても痛くないほど――実の娘のように愛しんで育ててきた暁を、鬼陸奥の皆に見てほしい。
心は俄かに浮き立っていた。
「連れて行っていい」
「え?今なんて…」
「暁はまだほとんど外の世界を知らない。いい機会だから連れて行け」
朔に反対してもらおうと思って勇んでいた天満は、思わず拍子抜けして目を丸くした。
確かに暁はほとんど幽玄町を出たことはない。
地理は熱が出るほど覚えさせたけれど、実際外に出たことがあるのは百鬼夜行を見学させに連れ出した数回で、遠出は一度もなかった。
「でも…暁は次期当主だし…何かあったら…」
「何も起こらないようにお前が守れ。護衛を連れて行くなら選抜はお前に任せる」
百鬼夜行前の夕餉を食べ終えて全員揃った時を見計らって話したため、その場には朔夫妻、輝夜夫妻、氷雨夫妻が揃っていた。
皆が一様に大きく頷き、大変な役目を担ってしまった天満は、嬉しさを爆発させて庭を駆け回っている暁を指した。
「朔兄いいんですか?僕のこと信用しすぎなんじゃ…」
「お前は俺の信頼や信用を損なう予定なのか?お前なら大丈夫だと思っているから任せるんだ。一度鬼陸奥に戻って色々整理して来い」
「そうですよ、しばらく戻っていないでしょうし、ゆっくりして来なさい」
「輝兄、簡単に言うけど暁に何かあったら…」
元々過保護で溺愛体質な家風だが、朔たちは何ら心配はしていなかった。
天満は暁を教育して育て上げる時を経て、本人は気付いていないが、身体共に充実していった。
命を懸けて守り切ってくれる信頼に足る男だと全員が思っているし、疑っていない。
「任せたぞ。暁に色々見せてやってくれ」
「天満さん、暁をお願いしますね」
芙蓉にも頭を下げられてしまい、いよいよ食い下がることができなくなった天満は、頬をかいて頷いた。
「変なことになっちゃった…」
とはいえ、目に入れても痛くないほど――実の娘のように愛しんで育ててきた暁を、鬼陸奥の皆に見てほしい。
心は俄かに浮き立っていた。