天満つる明けの明星を君に②
程なくして起きた天満は、隣に暁が寝ていることで、また自分が悪夢を見たのだと悟った。

だがいつもは倦怠感がすごいのに、頭痛もなくすっきりしている。

ぐっすり眠っている暁の身体を揺らして起こした天満は、目を擦りながらむにゃむにゃ言っている暁に問うた。


「僕またうなされてた?」


「ううん、私が来た時には天ちゃん寝てたよ。雛ちゃんがさっき少しだけ起きてたって言ってたけど」


「え…雛乃さんが…ここに来たの?」


「うん、天ちゃんがまた怖い夢見たら一緒に行こうねって約束してたから。でも雛ちゃん顔が真っ赤だった」


――寝顔を見られたのもなんだか恥ずかしかったが、雛乃の顔が赤かったと聞いてもしかして自分が何かをしたのかと疑った天満は、さっと起きて暁と一緒に顔を洗った後、雛乃を捜した。

家族は大抵用事がない時は居間に居るため移動すると、案の定雛乃は縁側に居てどこかぼうっとしていた。


「雛ちゃんおはよー!あれ?やっぱり首がおかしいの?寒い?」


暁が声をかけると振り返った雛乃は首に薄い首巻きを巻いていた。

しかし天満と目が合うなりぱっと逸らされて、そこでまた自身に不信感。


「雛乃さん…僕の部屋に居たみたいだけど…僕もしかして…」


何かしました?と直球で訊くのをためらった天満が押し黙り、雛乃は俯いたまま口ごもりながら早口でまくし立てた。


「暁様より先にお部屋に着いたのですが、少し起きてまた眠ってしまわれたので、私もすぐ下がりました」


「そう…なんだ?ならいいけど…首、どうしたの?」


…やっぱり覚えていないのかと若干がっかりした雛乃だったが、安堵もしていた。

でなければどう顔向きすればいいのか分からなかったから。
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