天満つる明けの明星を君に②
天満は元々面倒見が良い。
長男の朔は当主として百鬼夜行に日々邁進して多忙であり、次男の輝夜は長い間行方不明だった。
ともすれば、三男の自分が下の子たちの面倒を見る必要があり、それは別に嫌ではなかったけれど、面倒見の良さは雪男が太鼓判を押すほどだった。
「じゃあ暁、これは絶対取っちゃ駄目だからね。絶対だよ」
「うん!天ちゃん、ずうっと手を繋いでてね」
「いいよ、約束を守ってくれたらね」
「約束する!天ちゃん早く行こ!」
出発当日、天満は祖父の晴明から空を飛ぶ牛車を借りて暁と狐狸を乗り込ませた。
いつ如何なる時も油断しないように天満自身は御者台で見張りをする必要があり、そうなると――必然と暁も隣に座ってご満悦。
「天ちゃんのお家は広いの?」
「広いよ。それにお風呂が温泉を引いてるからすごく気持ち良くて、朔兄もうちに寄るとしょっちゅう一緒に入ってたからね」
「父様と?私も天ちゃんと入る!」
――齢十とは言え、身体は発達途中にある。
半妖は発育が良く、十五にもなれば成熟して子を産めるようにもなり、情操教育として天満は最近暁と一緒に風呂に入るのをやめていた。
「うーん、一緒に入るのはちょっと…」
「やだやだ!絶対一緒に入るもん!やーだー!」
時々とてつもなく駄々をこねて手足をばたつかせる暁の頭を撫でた天満は、それもまた可愛いとなんちゃって親馬鹿を発揮させて長い親指を唇にあてて笑った。
「朔兄たちには内緒だよ」
「内緒!?うん!内緒にするから!」
共有の秘密ができて大喜びする暁と、牛車の中でひっくり返って寝ている狐狸。
そのもふもふでぽんぽこりんの腹をぽこぽこ叩いてずっと喜び続けている暁に、死んでしまった娘を何度も思い出すことがある。
思い出しては、この子だけは絶対守るんだ――と心に強く誓う。
そうして天満は気力共に充実していった。
長男の朔は当主として百鬼夜行に日々邁進して多忙であり、次男の輝夜は長い間行方不明だった。
ともすれば、三男の自分が下の子たちの面倒を見る必要があり、それは別に嫌ではなかったけれど、面倒見の良さは雪男が太鼓判を押すほどだった。
「じゃあ暁、これは絶対取っちゃ駄目だからね。絶対だよ」
「うん!天ちゃん、ずうっと手を繋いでてね」
「いいよ、約束を守ってくれたらね」
「約束する!天ちゃん早く行こ!」
出発当日、天満は祖父の晴明から空を飛ぶ牛車を借りて暁と狐狸を乗り込ませた。
いつ如何なる時も油断しないように天満自身は御者台で見張りをする必要があり、そうなると――必然と暁も隣に座ってご満悦。
「天ちゃんのお家は広いの?」
「広いよ。それにお風呂が温泉を引いてるからすごく気持ち良くて、朔兄もうちに寄るとしょっちゅう一緒に入ってたからね」
「父様と?私も天ちゃんと入る!」
――齢十とは言え、身体は発達途中にある。
半妖は発育が良く、十五にもなれば成熟して子を産めるようにもなり、情操教育として天満は最近暁と一緒に風呂に入るのをやめていた。
「うーん、一緒に入るのはちょっと…」
「やだやだ!絶対一緒に入るもん!やーだー!」
時々とてつもなく駄々をこねて手足をばたつかせる暁の頭を撫でた天満は、それもまた可愛いとなんちゃって親馬鹿を発揮させて長い親指を唇にあてて笑った。
「朔兄たちには内緒だよ」
「内緒!?うん!内緒にするから!」
共有の秘密ができて大喜びする暁と、牛車の中でひっくり返って寝ている狐狸。
そのもふもふでぽんぽこりんの腹をぽこぽこ叩いてずっと喜び続けている暁に、死んでしまった娘を何度も思い出すことがある。
思い出しては、この子だけは絶対守るんだ――と心に強く誓う。
そうして天満は気力共に充実していった。