幼なじみの不器用な愛情
第五章~後戻りできない~
「隆弘、調子悪い?」
「いや。大丈夫だけど。」
「そう?ならいいけど。」
華は隆弘の目の下のクマが気になっていた。疲れているようでため息も多い。
もうすぐ教員採用試験だから追い込みが大変なのかもしれないと華は思っていた。
「私、バイトのシフト入れるよ?変わろうか?」
「大丈夫だよ。今月はそんなに入ってないし。ありがとうな。」
「・・・うん」
華はそういう隆弘にそれ以上言えなかった。

高橋と付き合い始めてから隆弘とも距離をとっている。

華は隆弘に気づかれないようにせめてもとバイト中の隆弘の負担を減らせるようにした。
隆弘が片づける前の食器を片付けたり、オーダーも率先してとる。片付けや掃除も隆弘が始める前に終わらせた。

「華」
隆弘に呼ばれて華が近づくと隆弘が華の目を見た。
「大丈夫だって言っただろ?お前、俺の仕事フォローしてくれてんだろ?」
「そんなことないよ。」
「嘘だな。本当に大丈夫だから。気、使うな。」
「つかってないよ・・・」
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