幼なじみの不器用な愛情
「あっ降り出したな」
「本当だ。」
「走るか!」
いつもの華のバイト帰り。高橋と華は手を繋いで走った。
「傘、これ使って。」
華は高橋を家には上げない。
家の中がすっからかんなのを見られたくないのももちろんある。
でも高橋とは手を繋いでもそれ以上のことはまだしていなかった。
高橋に抱きしめられたこともある。でも、キスやそれ以上は・・・できなかった。

高橋に華は傘を貸した。
こんな時も家に入れてくれない華に高橋はぎこちなく笑う。
この距離はなんなのだろうか・・・
付き合い始めて華は両親が亡くなっていることを教えてくれた。
家には一人で住んでいることも。

でも話してくれる内容には必ず壁がある。
これ以上踏み入れられないようにと華が作っている分厚い壁の存在に高橋は不安になっていた。
その不安を払拭するためにも週末のデートに賭けていた。
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