幼なじみの不器用な愛情
華は高橋を見送ってから、ちらりと隆弘の部屋の方を見た。
明かりがついている。
教員採用試験は先週終わったはずだ。
それでもまだ隆弘はバイトに来ていない。

会いたい・・・

そんなこと思ったらだめなのに・・・。
高橋の顔が浮かぶ。

華は隆弘の部屋から視線を移して自分の家の中に入った。

濡れた体。
雨の音。
リビングの中央で体を丸めていると幼い時のあの悲しい経験を思い出す。

ただただ一人で待っていた時も、同じように夏の雨の日だった。
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