幼なじみの不器用な愛情

「やっぱ、かわいいじゃん。この浴衣。」
高橋に褒められて華は頬を赤く染める。
昨日高橋と一緒に買ってきた浴衣を着て華と高橋はお祭り会場になっている駅に向かっていた。
「慶吾君も似合ってる。」
「やっと名前、呼んでくれたな。」
「うん・・・恥ずかしいけどね。」
華がそう言ってうつむく。
「俺も照れちゃうじゃん。」
高橋も耳まで赤くなった。
「友達は？」
以前高橋の言っていた友達との待ち合わせ場所を華が聞くと
「あっいた。」
と高橋が一点を見つめた。
「今日誘ったのは隆弘だよ。」
「え？」
「ダメだった？」
「・・・うんん。」
華は人ごみの中、背が高くて整った顔の隆弘をすぐに見つけた。
近くを通る女性が振り向いている。