幼なじみの不器用な愛情
「隆弘!」
高橋が手をあげて隆弘を呼ぶ。目線を移した隆弘は華がいることに気づき目を丸くしていた。
その表情に華も、隆弘が自分もいることを知らずに来ていることに気が付いた。
「お前やっぱり目立つな。」
「そっか?」
「あぁ。試験、お疲れ。」
「お前もな」
平静を装って話しかける高橋に隆弘も答える。
「お前、デートならそう言えよ。俺じゃまだろ?どう考えても。」
隆弘が今にも帰ろうかという姿勢になると高橋はあたりをきょろきょろとし始めた。
「もう一人呼んでるんだよ」
という高橋の目線を華と隆弘が追っているとそこに現れたのは笹本だった。
「どういうことだ?」
隆弘が鋭い目線になる。
隆弘はこういうのが嫌いだ。
華も高橋をじっと見つめる。
何を考えているのかが分からない。
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