幼なじみの不器用な愛情
二人は無言のまま華と笹本のもとへ戻った。
「あれ?華は?」
高橋が笹本に聞く。
「お手洗いに行ってくるって言って」
そこに華がいない。
「俺ちょっと行ってくるわ。危ないし。」
「あぁ」
隆弘は胸騒ぎを覚えながら高橋を見送った。

「戻ってきませんね」
「あぁ。」
隆弘は携帯の時計を見る。
華と高橋が戻ってこない。
もう20分近く経っている。
きょろきょろとあたりを見渡す隆弘。
「もしかして、私たちのことわざと二人にしたのかもしれないですね。」
笹本の言葉に隆弘は真顔で答える。
「それはないだろ?連絡もしないでそういうことするやつらじゃない。」
笹本は隆弘が自分を突き放したほうに感じて黙った。
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