幼なじみの不器用な愛情
「華は甲殻類アレルギーなんだよ。少しでも、間接的にでも摂取するとアナフィラキシーを起こす。だから祭りの出店で華は食べ物がほとんど買えないんだよ。」
華は見る見るうちにぐったりとしてくる。
隆弘は華の横に座り華の体を自分の方へ寄りかからせた。そして華の口にお茶を近づける。
「飲めるか?」
「・・・」
華の口に飲み物を運び、飲ませた。
笹本はふと思い出す。そういえばお好み焼きを隆弘は食べなかった。たこ焼きにはエビは入っていない。お好み焼きにはエビが入っていた。
隆弘の対応の早さに高橋は見ていることしかできない。
「帰ろう。家になら薬あるか?」
隆弘の言葉に華が頷く。
華の反応を見て隆弘は華の持っていた巾着を開けた。その中から吸入器を取り出す。
「喘息をもっている華がアナフィラキシーを起こすと気管が閉塞する可能性があって危険なんだ。」
高橋に説明しながら隆弘は華の口に吸入器を当てた。

自分のせいだ・・・高橋は言葉を失った。
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