幼なじみの不器用な愛情
「言えるわけないじゃん・・・。」
隆弘に聞こえるか聞こえないかのかすかな声で華はそうつぶやいた。
華は顔をすっぽりと毛布の中に入れて顔が見えないようにしてしまった。
かすかに毛布が揺れて華が泣いているのが分かる・・・。

隆弘はそれまでこらえていた気持ちがあふれ出して華の体を思い切り抱きしめた。
強く強く抱きしめる。
隆弘に抱きしめられて華の体が隆弘の胸の中にすっぽりとおさまった。

ふたりに言葉などいらない。

こうするだけでお互いの気持ちがあふれて止まらなくなる・・・。
隆弘の胸の中で華の体が小刻みに揺れる。

華の我慢していた想いがあふれ出した・・・


自分にすべてをぶつければいい・・・
隆弘はそう思いながら泣き続ける華を抱きしめ続けた。強く、強く・・・
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