幼なじみの不器用な愛情
「・・・ごめん。帰って?」
華はしばらくして隆弘にそう言った。
「いやだ。」
隆弘が強く言う。
「汗かいちゃったし。こんな格好だし・・・シャワー浴びたいから。」
「じゃあ、また来る。」
「・・・」
隆弘はそう言って一度家に帰ることにした。
自分もシャワーを浴びていない。
華も浴衣の帯をほどいて毛布を掛けている状態でいつまでもいるわけにはいかなかった。

一時間が過ぎ、隆弘は再び華の家の前にいた。
玄関のチャイムを鳴らしても華が出てこない。
~♪
隆弘は華の携帯に連絡した。
『はい』
「俺だ。開けて。」
『今、慶吾君といるの。切るね。』
「華っ!」
一方的に切られた電話を握りしめて隆弘は玄関の前で立ち尽くしていた。
< 138 / 305 >

この作品をシェア

pagetop