幼なじみの不器用な愛情
二人はたくさん話をした。
一つの毛布に体を寄せ合いながら。
隆弘は華の小さな手を握って離さない。

華も隆弘の大きな手に自分の指を絡めて離さなかった。

華は隆弘にアパートに引っ越した後の話をした。
祖父母の残した遺産の話や、家を手放さなくてはならなくなった理由も初めて話した。

「もう、スケジュール帳はつけてないの。」
「え?」
隆弘が一番気になっていたことを華は話始めた。
「予定がなくてはじめはすごく不安だった。でもね。」
華はベッドのサイドボードの引き出しから一冊のスケジュール帳を出した。
その中から一枚の紙を出す。
隆弘がそのスケジュール帳を見るとそれは華が自分のもとを去った年の物だった。
「不安になるたびにこれを見てた。」
華が取り出した紙を広げる。
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