幼なじみの不器用な愛情
一緒に暮らさないか?と。



華はその言葉に返事ができなかった。

返事を保留にしたまま隆弘に朝食を作り、送り出す。
一度、隆弘は自分のアパートに帰って着替えをするからと早めに家を出た。

家から出るときに玄関まで見送りにでた華の体を抱きしめてその唇にキスをしてから隆弘は帰って行った。


華は一人残された部屋でベッドに座り部屋を見渡した。
ついさっきまでいた隆弘のぬくもりがまだ部屋に残っている。

隆弘の飲んだコーヒーのカップや朝食を食べた食器が机にはある。

昨日まではなれたはずだった孤独に襲われる瞬間。華は無意識にベッドの上に寝転がり毛布を体にかけて体を小さく丸めていた。
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