幼なじみの不器用な愛情
「本当にきれいになった。大変な思いたくさんしたでしょ?つらいことも。これからはおばさんに少しは頼ってくれると嬉しいわ。連絡先、あとで隆弘から聞いてもいいかしら?」
「もちろん。」
華が笑顔を向けると隆弘の母は隆弘に聞こえないように小声で華に話した。
「華ちゃんがいなくなってからの隆弘は見てられなかったわ。でも、今思えばあの時華ちゃんがいなくなって、寂しさや悔しさをぶつけたから先生になるっていう夢を叶えられたのかもしれないわね。」
「・・・勝手にいなくなって、本当にごめんなさい。」
「もう謝らなくていいのよ。こうしてまた会えて、しかも隆弘の恋人になってくれるなんて。お嫁さんになってくれたらもっと嬉しいんだけどね。」
隆弘の母はそう言って笑った。

二人で同棲することも母は隆弘から聞いていた。

「お待たせ。」
隆弘がアイスクリームを自分と華の分を持ってくる。
「あんた、母さんの分は?」
「え?食べんの?」
「まったく、息子はこれだからつまらないのよ。」
「わかったよ。持ってくればいいんだろ?俺の先に食べてろよ。」
「わかればいいのよ。」
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