幼なじみの不器用な愛情

ふたりのやりとりを聞いて華が笑顔になる。

「華ちゃんっ！」
仕事から帰宅した隆弘の父は華の姿を見るとすぐに抱きしめた。
「セクハラ親父！」
隆弘がすぐに父を華の体から引きはがす。
「いいだろ。じゃますんな。華ちゃん、本当の娘になってくれないのか？もう同棲なんてすっ飛ばしてお嫁においで？」
昔から隆弘の父は息子以上に華を溺愛していた。
「お久しぶりです。」
華が微笑むと隆弘の父は華の頭をくしゃくしゃに撫でる。
「大きくなったな。いや、きれいになった。今度デートしよう。」
「だからセクハラだってば。」
そんなあたたかなやりとりのなか、華は家族の温かさを思い出せそうな気がした。
隆弘の自分への優しさも温かさも、きっとここからはぐくまれているのだと思いながら、笑顔の時間を過ごした。

「泊ってくれたらいいのに。旅館なんて行かないで。今度泊りに来てね？隆弘はいなくていいんだから、華ちゃんの休みの時に来て？娘と買い物に行くのが夢なのよ私。」
「それより先におじさんとデートしよう。お金出すから。」
「こらこら」