幼なじみの不器用な愛情
「チェックインだけしてくるから、待ってろ。動くな。いいか?」
「うん。」
「本当に動くなよ?」
「ねぇ、隆弘。」
「ん?」
「アイス食べたい」
華の言葉に隆弘はさっきまでの不安定な華から回復していることを感じた。
「了解。って今日何個アイス食べんだ?」
「いいの。お風呂のあとはアイスでしょ。」
華が満面の微笑みを隆弘に見せる。
隆弘は微笑みを残してフロントへ向かった。

チェックインの手続きを済ませると隆弘は売店でアイスを買って部屋へ戻った。
かなり趣のある老舗旅館。初めての旅行で大奮発をした。
元から特に趣味もなかった隆弘は仕事をはじめてから給料のほとんどを貯金していた。
その貯金をつかうときがきたと、張り切って旅館を予約したのも隆弘だった。

「ただいま」
隆弘が部屋に戻ると華が布団の上に横になり眠っていた。
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