幼なじみの不器用な愛情
二人はデートを楽しんだ。
デートらしいデートも二人にとっては初体験だ。

植物園では咲き始めたばかりのひまわりがきれいで華は携帯のカメラでたくさん写真を撮った。そんな華の姿を隆弘が写真に収める。
どんな彼女の姿も隆弘の心を簡単に高鳴らすことができる。そのくらい隆弘は華に夢中だった。

「小さいころの記憶って私あまり残ってないんだけど、両親と一緒にひまわり畑であそんだ記憶があるの。お父さんに抱っこされて、ソフトクリーム食べた記憶。」
「華の両親に、会ってみたかったな。」
「・・・うん。」
華が自分の両親の記憶を話すのは久しぶりだった。幼いころはよく華は隆弘に両親の話をしていた。その記憶もつらく悲しい記憶だけが残って徐々に忘れていくことを華は幼いながらに恐怖に想い、隆弘に話していたのを覚えている。
「そのソフトクリームがバニラとチョコのミックスだったって昔言ってたよな。」
「え?話したっけ?」
「あぁ。覚えてる。」
隆弘はそう言って華の手をひいてアイスクリームショップへ向かった。
< 229 / 305 >

この作品をシェア

pagetop