幼なじみの不器用な愛情
「ミックスのソフトクリームふたつ。」
そう言って隆弘が注文する。
きれいなかたちに完成したソフトクリームを一つ華に渡すと隆弘は華の手を引いてひまわりの見えるベンチに座らせた。
「昔、よく話してくれただろ?ご両親との話。」
「・・・うん。」
華の記憶にもその頃の姿が浮かぶ。
「華が忘れても俺が覚えてるからって約束したの、覚えてるか?」
「・・・うん。」
「ちゃんと覚えてるよ。華の話。これからも一緒に記憶を共有したらいい。」
「・・・」
「そしたらいつか、どっちの記憶かわからなくなって、本当の意味で共有できるんじゃないかな?うまく、言えないけど。」
隆弘はそう言ってソフトクリームを一口食べる。
「あまっ」
「ありがとう」
華はひまわりを見ながらソフトクリームを食べ始めた。
「おいしい」
「俺たち昨日からどれだけアイス食べんだよ。」
そう言って笑う隆弘に華は微笑み返した。
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