幼なじみの不器用な愛情
二人はその後、水族館にも行った。直接海の生き物に触ることのできるコーナーで、隆弘は自分の生徒に理科の授業で見せたいと、生き物を手にしながら必死に写真を撮っていた。そんな隆弘を華は写真におさめる。
「そで、濡れちゃう」
と華が隆弘の袖をまくると「ほら」と隆弘がなまこを華の手に付けた。
「うわぁ～。やめてよ。」
と華がものすごい顔で下がると隆弘はいたずらな表情を見せる。
そしていつの間にか仲良くなっていた近くの小学生の男の子たちと
「あのお姉さんはこういうのダメなんだって。女子ってこれだからなぁ～」と話始める。
「悪口は泥棒の始まりなんだからね。」
と華が反論すると、隆弘と子供たちは「古い～」と再び笑い始めた。

一緒に出掛けていると隆弘が子供が好きなのが伝わってきた。
小さな子が落としたものをすかさず届けたり、ショーを見るときに自分の体で後ろの子供が見えなくならないようにそっと横に体をうつしたりと気配り上手だ。

華は将来、隆弘がお父さんになったら子供はきっと幸せだなぁと思った。
その隣にいる自分を想像してみる。
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