幼なじみの不器用な愛情

「ん？」
華はまだ寝ぼけている。
「うなされてた。」
「・・・また？ごめん。うるさかった？」
華が申し訳なさそうに隆弘を見る。
隆弘はそっと華の体を抱き寄せた。
「そんなわけないだろ。大丈夫か？」
「うん。」
華はすぐに再び眠りについた。

5月に二人で旅行へ行き、6月には同棲する部屋も正式に決めた。
華は隆弘の前ではいたって元気そうで笑顔も多いのに、一緒の夜、華が泣いたりうなされることが続いている。

隆弘は華が一人の夜もこうして一人泣いているのではないかと心配で、一人にできなかった。



言葉にできない不安が隆弘を襲う。
自分の腕の中にすっぽりとおさまる華奢な華の体を抱きしめながら隆弘はこの不安の正体は何なのかを考えずにはいられなかった。