幼なじみの不器用な愛情
「まだ怒ってんのか?」
隆弘は帰宅してから華の機嫌をとっていた。
華は先にシャワーを浴びていた。
「ごはんは?」
「いらない」
「だめだろ。ちゃんと食べないと。薬も飲めなくなるだろ?」
華は病院から処方された薬を継続して飲んでいる。
「薬は飲んだもん。」
「それ、一番ダメだろ。なんか作るから。」
「いらない!」
華は少し声を荒げて告げると寝室へ向かった。

隆弘は小さくため息をついてからキッチンでおかゆを作り寝室へ向かった。
おかゆの嫌いな華も昔から卵がゆだけは食べることができた。完成した卵がゆを枕元のテーブルに置く。
「華」
華は隆弘の気配を感じて、布団に頭まですっぽりとくるまっていた。
隆弘が布団をそっとめくろうとする。それを華はギュッと布団を握りしめてめくられないようにした。
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