幼なじみの不器用な愛情
「華の親戚に会ってたんだ。」
「え?」
華が半分ほどおかゆを食べてもういらないと首を横に振ると、隆弘が話始めた。
「華の過去をちゃんと俺も知りたい。そうじゃないと華のことを本当の意味で理解したり守ったり支えたりできないと思ったんだ。」
「・・・」
隆弘はわずかな情報をもとに華の過去をたどっていた。ちょうど時間が使えて、隆弘は華の実家へ車を走らせては当時の近所の人から話を聞いたり、実際に両親ががけ崩れの事故に遭った現場にも足を運んだ。華の両親のことは地元の新聞の大きな記事にもなっていて、過去についていろいろと調べていたのだった。
「私のこと?」
「あぁ。華は嫌がるかもしれないけど・・・。勝手にごめん・・・」
華は隆弘が自分のために時間を使ってくれていたことを知り不機嫌な態度をとったことをバツが悪く思った。
「華。」
「ん?」
「今度の休みに当時、華の実家の隣に住んでいたって人と会えるんだ。」
もう20年近く前のこと。華の実家の隣に住んでいた人もすでに別の場所へ引っ越していた。
古い集落だったため、過疎化も進みほとんど住民は街へ引っ越していて、隆弘はなかなか当時のことを知っている人に会えなかった。
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