幼なじみの不器用な愛情
「華も一緒に行かないか?」
隆弘の言葉に華は黙った。うつむきしばらく考え込む。
「無理にとは言わない。でも、ちゃんと過去と向き合ったほうがいいんじゃないかと思うんだ。もしかしたら今よりもつらくなるかもしれない。それでも俺は華から離れない。そばにいる。何ができるかはわからないけど、ずっとそばにいることはできる。」
「・・・」
隆弘が華の体を抱きしめる。
「過去は変えられない。でも、俺たちは未来をつくれるんだよ。家族の温かさも、ぬくもりも。全部俺は華にあげられる。唯一あげられないのは、華が持っている過去の罪悪感だけはどうにもしてやれない。過去を変えることだけはできないんだ。」
「・・・」
華が少し体を離し隆弘の顔を見る。
その目は真剣で、華を想っていることが伝わった。
「だから、俺も一緒に華の過去も背負いたいんだよ。一緒に向き合いたいんだ。」
それでも華はまだ返事ができない。
「答えは今すぐじゃなくてもいい。逃げてもいいんだ。」
「・・・」
華は再び隆弘の胸に飛び込んだ。
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