幼なじみの不器用な愛情
昔から華に話を聞いていた隆弘の記憶の中にもいつの間にか華の幼いころの記憶が存在していて、華の話に隆弘も記憶がよみがえった。
「ここのおばさんの」
「ごま羊羹だろ?」
「どうして知ってるの?」
「前に話、聞いたの思い出した。」
華は隆弘の言葉に嬉しそうに微笑んだ。

そして、華の実家だった場所についた。
そこにはすでに建物はなかった。

広い空き地になっている。

それでも華はすぐに自分の実家のあった場所だとピンときた。
立ち止まりじっと何もなくなった土地を見つめる。

隆弘は少しの間、何も話さず見守ってから、華の肩を抱きしめた。
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