幼なじみの不器用な愛情
第十二章~もう待たなくていいんだよ~
隆弘は華を連れてきたことを後悔していた。

涙を流し両親に謝り続ける華はあまりにみていて切なく、隆弘は華の体を抱きしめても華の心の深い闇と傷をかばうことも癒すこともできない。

「行こうか。」
なかなか気持ちの切り替えのつかない華に、隆弘が切り出した。

華の実家の隣に住んでいたという人との待ち合わせの時間もあった。

隆弘が華の肩を抱いて立ち上がらせて車まで支えて歩いた。

華の足元がふらついていて、心配は募る。

「ここから先は俺ひとりで行ってくる。」
待ち合わせ場所へ着くと隆弘は華にそう伝えた。
「私も行く。」
華が腫れた目で隆弘を見る。
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