幼なじみの不器用な愛情

一瞬隆弘と華の目が合う。
華に隆弘が「よっ」と口を動かして伝える。華は隆弘に手を振ってこたえた。

「隆弘君はこっち！」
女子が隆弘の手を引いて連れていく。その位置は華から一番遠かった。
同じ並びの一番遠い席同士でお互いの姿が見えない。

華は小さくため息をつきながら
「じゃあ、カシスオレンジで。」と男子に伝えた。
「そう来なくちゃ！華ちゃんはカシスオレンジで。」

飲み会はそこからどんどんと盛り上がっていった。

30分が過ぎたころ、席替えタイムが設けられた。でも運悪く華と隆弘の席はまだ遠い。
その結果を聞きながら華は再び小さくため息をつき、「レモンサワー」と新たな飲み物を注文した。

1時間が過ぎたころには華は酔い始めていた。