幼なじみの不器用な愛情
「そんな時に連絡が来たんだ。」
老人は苦痛に顔をゆがめて話す。

「街と我々の住んでいた集落のちょうど中間に住んでいた老人がいてな。一人で住んでいたんだ。」
華ははじめて聞く話に老人の顔をまっすぐに見つめた。
「その老人が一人は怖いから自分を街か集落に連れて行ってほしいと言って、連絡をよこしたんだ。」
「・・・」
「身寄りのない老人でな。華ちゃんの両親はいつも気にかけとったんだ。それで華ちゃんの両親が行くことになった・・・。」
華は息をのんだ。
「その時にがけ崩れが起きたんだ・・・」
隆弘が華を見ると何かを思い出したような顔をしていた。
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