幼なじみの不器用な愛情
「私のせいじゃない・・・」
華がふとつぶやく。
隆弘は華を見る老人に説明した。
「彼女は体調の悪かった自分がアイスを食べたいとわがままを言って両親がでかけたと思っていたんです。」
「華ちゃん。それは違う。あの時華ちゃんの両親を行かせてしまった集落の仲間たちは後悔したんだ・・・。皆自分の畑を守ることに必死で、華ちゃんの両親を行かせてしまったことを・・・。それに事故から2週間気づかなかったのも、その時助けに行こうとしていた老人が病院で意識を回復させてからだったんだ・・・。あの時、みな華ちゃんも一緒に行っていたと思っていたんだ。」
「・・・」
華の瞳から新しい涙があふれる。

「こんな話は不謹慎だが、虫の知らせというかなんというか・・・華ちゃんの両親は何かを悟っていたのかもしれないな・・・無理にでも華ちゃんを連れて行かなかったのは・・・」
「・・・」
次々に涙を流す華の肩を隆弘が抱く。
「すまなかった・・・華ちゃん・・・ずっと謝りたかったんだ・・・すまなかったね・・・」
老人が頭を下げる。深々と頭を下げる老人に華は首を横に振った。
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