幼なじみの不器用な愛情
華はお墓のある墓地に着くと隆弘の手を握って歩き出した。
ゆっくり、ゆっくりと・・・


そしてお墓の前につくと、しゃがんで墓石を見上げた。

「お父さん、お母さん・・・」
華が話始める。隆弘は華の横に一緒にしゃがんだ。
「私ね、ずっとお父さんとお母さんを死なせてしまった自分のことを許せなかった・・・。ずっと私のせいで二人は死んでしまったんだって思ってたの。」
墓石を見上げる華の瞳からはきれいな涙が伝った。
「でも、私のせいじゃなかったの・・・?」

季節は残暑の厳しい夏。
じりじりと肌をやきつける日差しのまぶしさの中、秋へと季節が移り替わる気配を感じさせる風が吹いていた。

「私のせいで二人は死んじゃったと思ってたから、私だけ生き残ったこと・・・ずっと後悔してた・・・悔しくて悔しくて、生きる理由が見つからなかった・・・。」
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