幼なじみの不器用な愛情
そして月曜日。
「支度できたか?」
「うん。」
隆弘は授業が終わると早退して帰宅した。スーツ姿のまま病院に付き添う。
「なんだかお腹が張ってるような気がするの。」
「え?大丈夫か?ちゃんと診てもらおう。」
隆弘は華の荷物も持ち、自分の車に華をのせて車を走らせた。
「なんか・・・緊張するな・・・」
と、いつもは片手でハンドルを操作していた隆弘ががっしりと両手でハンドルを握る姿に華はくすぐったく感じた。

ふたりが選んだのは華がちょうど通っていた総合病院の産婦人科だった。

受付の看護師に初診であることを伝えると華は問診票を渡される。
二人で内容を記入していくと、華の手が止まった。
「私の飲んでた薬って何だっけ?名前。」
「貧血のやつ?」
「違う。眠剤。」
一時華は睡眠導入剤を処方されていることがあった。ほかにも体調を崩していた時期はさまざまな薬を飲んでいる。
< 294 / 305 >

この作品をシェア

pagetop