幼なじみの不器用な愛情
心配そうな華に看護師は優しい笑顔を向ける。その笑顔に華は見覚えがあるような気がした。
似ている誰かに似ているだけかな・・・。そんなことを考えていると、
「妊娠検査薬は100パーセントではありません。子宮外妊娠の可能性もありますし、ホルモン状態のバランスや、検査薬自体の不良ということもあります。早く診察室に入れるようにしますので、安静にしてお待ちくださいね。」
華がその看護師の名札を見ると『和田』と書かれていた。

不安な気持ちのまま華は待合室の椅子に座る。
もしも妊娠が間違いだったら、喜んだ隆弘の気持ちを台無しにしてしまう。

もしも、子宮外妊娠だったら・・・

最悪の事態を考えずにはいられなかった。

「大丈夫。」
緊張している華の手を隆弘が握る。
待合室には女性ばかりで、男性は隆弘を含めて2名しかいなかった。

そんな状況を全く気にもせず付き添ってくれる隆弘に華は心強さを感じた。
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