幼なじみの不器用な愛情
淡々と話をする医師に華の思考回路がついていかない。
すると内診室からもう一度診察に入る前に理恵が話しかけた。
「大丈夫。妊婦さんの半分くらいの人が何らかのマイナートラブルを経験するの。それに切迫早産といわれても無事に出産する人がほとんどだから。心配しないで。赤ちゃんとの初めての休暇だと思って、ゆっくり休んでね?」
理恵の言葉に華は少し安心した。

「えっ!?」
診察室に入ることを許された隆弘はへんな声をあげた。
「入院じゃなくていいんですか?」
「そこまでの出血ではありません。心拍が確認できる妊娠成立までは念のために安静にしてくだいという段階です。必要であれば診断書出しますが必要ですか?」
「・・・いちを・・・」
二人は何のことかわからずに診察室を出た。
ただ、豆粒のようなエコー写真はもらうことができた。

「妊娠の成立はこの赤ちゃんの入っている袋、胎胞って言うんだけどね?それと胎芽赤ちゃんの原型、そして心拍の確認ができるまでは認められないの。1週間したら心拍が確認できるかもしれないし、もしかしたらもう1週間先かもしれないから、心拍が確認できるまでは通院してもらうことになります。」
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