幼なじみの不器用な愛情
「なんか、いいことでもあった?」
自分の席に戻ると相変わらず酔っている男子に絡まれる。それでもなぜか華の心は晴れていた。
「うんん。」
「次、何飲む?」
「私もうお酒じゃなくてお茶がいいな。」
「ダメ。」
華はお茶をあきらめてお酒を頼んだ。もう飲まなければいい。そうしてやり過ごそうと思っていると店員がウーロン茶をこっそり持ってきてくれた。
「?」
華が疑問に思っていると店員が耳打ちする。
「何を注文されてもウーロン茶を持って行ってあげてほしいってあちらのお客様に言われたんです。」
そう言って店員が目線を送ったのはほかの誰でもなく隆弘だった。
店員が教えてくれなくてもこんな気遣いをしてくれるのは隆弘しかいないと華はわかっている。

くすぐったいほどにうれしい・・・。

華は隣の男子に気づかれないようにそっとウーロン茶を飲んだ。
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