幼なじみの不器用な愛情
隆弘がサービスエリアに入ると外のベンチに華を見つけた。

隆弘の車を見て立ち上がり手を振っている。

季節は春。まだ、夜になると肌寒い。一体どのくらい外にいたのだろうと心配になり隆弘は車を停めると華のもとへ駆け寄った。

「華っ!」
華も駆け寄ってくる。

「隆弘っ!ありがとう!」
隆弘は自分のそばに来た華の唇や頬の色が紫を通り越して白くなっていることにすぐに気がついた。
「なんで中で待ってないんだよ」
「ふふっ。」
華はごまかして笑った。華がごまかした気持ちが隆弘にはわかる。

華は待つことが苦手だ。

待っても待っても両親が帰ってこなかった幼いころの経験が、華を今でも不安にさせる・・・
< 5 / 305 >

この作品をシェア

pagetop