幼なじみの不器用な愛情
いつものように大学の授業が終わると華はアルバイトへ向かった。季節の変わり目は喘息の発作が出やすい。用心して予防薬を飲んだりすることもあるが、なんだか最近は何事にも気持ちがむかず、華は病院へ通うことも億劫になっていた。このタイミングで喘息の発作が出ても吸入器も中身がガスが空になっている。さすがにこのままだとまずいと思った華はからだった翌日の誕生日に病院へ行く予定を立てた。

「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
バイト中は笑顔で接客をする。華はバイトの中でももうベテラン組に入る。最近は春になり大学一年生の後輩もバイト先にはいり、先輩として後輩の世話も任されていた。
「先輩、4番テーブルのドリンクがまだで・・・でもオーダーも来ていて・・・」
「了解。ドリンクは私用意するから、オーダー行っていいよ。」
「先輩、15番。髪の毛が入ってたってクレームが・・・」
「了解。ドリンク出したらすぐ行くから。」
「先輩、補充用のナプキンてどこですか?」
次々に華の名前が呼ばれる。自分自身の仕事だけではなく、後輩のフォローも入ってくるとかなり忙しかった。
何とか夕飯時のラッシュが終わったころには華はくたくたになっていた。
「ゴホッ…」
夕方から咳が出る。そのたびにキューっと胸が痛み、なんだか嫌な予感がしていた。
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