幼なじみの不器用な愛情
華は全身を小さく丸めてリビングの真ん中に寝転んだ。

幼い日のことを思い出す・・・。

すぐに帰るという両親の言葉を信じて待ち続けた日々を・・・。


あの日から時間が流れても私は何も変わっていない・・・


あの日から一人のままだ・・・


いっそ両親と一緒に買い物に行きたいと泣きついていたほうがよかったのではないかと何度も考えた。

でもそのたびに浮かぶのはやっぱり両親の顔ではなく隆弘の顔だ。

生きていなければ出会うこともなかった、隆弘の顔。

その顔はいつも穏やかに微笑んでいる・・・。
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