幼なじみの不器用な愛情
華は夢の中で隆弘の幻を見ているのだと思っていた。


幼い子供の自分がただ両親を待っていると、そこに現れたのは・・・隆弘だった。



ずっとずっと待っていた。

寒い部屋で、お腹がすいて、やがて空腹すら感じなくなっても華はずっと待っていた。

真っ暗な部屋で・・・ただ一人体を小さく小さくしながら・・・ただ待っていた・・・。


本当は誰も来なかったのに・・・
この夢が現実ではないと華はわかっている。

でもこの夢が覚めなければいいのにと願った・・・

この幸せな夢の中で・・・すべてを終わらせることができたらもう悲しい思いはしなくてもいい?誰かを待たなくてもいい・・・?

夢なら・・・覚めないで・・・

夢なら・・・覚めないで・・・

と願う。
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