幼なじみの不器用な愛情
華が目を閉じると涙が伝った。
「華。もっと自分を大切にしろよ・・・」
隆弘がその涙を大きな熱い手で拭う。
「頼むから。大切にしてくれ。」
隆弘も華の手を強く握りながら目を閉じてその手に自分の額をつけた。

願う気持ちで華の手を握る。

華が死んでしまうかもしれないと思って不安だった。
怖かった。恐怖で隆弘の手は少し震えていた。

華にもその手の震えが伝わる。

だめだ・・・こんなに大切にされたら・・・またあの悲しみを味わうことになる・・・
でも今だけは・・・この心地よい体温に包まれてゆっくり休みたい・・・
華はそんなことを考えながら眠りについた。
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