幼なじみの不器用な愛情
華は隆弘が帰ってから病院の会計に向かい相談していた。健康保険でまかないきれない分の支払いに関して自分には難しいことを伝える。そして主治医が呼ばれ、熱が下がったら退院することを決めた。
「本当は2~3週間の入院が必要です。酸素治療もまだ必要ですし。肺炎を馬鹿にはできません。」
「はい・・・。」
祖父母の遺産を使うこともできる。でも華はなるべくその中から家のこと以外は求めたくはなかった。華にとって一番欲しいものはお金じゃない。祖父母との思い出やぬくもりののこる家が一番大切だ。遺産に目のくらんでいる親戚から理解を得て家に住み続けるためにはどうしてもお金を必要以上に使いたくない。

「毎日吸入をしてください。治療薬を処方しますから一日に3回は吸入を欠かさず、自宅で安静にししてくださいね。2日後通院してください。少しでも体調が整わないときは必ず外来で受診してください。」
華は入院してから2日後に退院した。

隆弘はバイトの合間にお見舞いに来てくれていた。
隆弘にはすっかり良くなったから退院するのだと嘘をついた。

ほんとはお金を心配しているなんて言いたくない。隆弘にはそんな姿見せたくない・・・。
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